【ドラマ】男たちの旅路 第1部

警備会社に勤務する吉岡は、筋金入りのガードマン。特攻隊の生き残りの戦中派で現在50歳。いまどきの若者の無責任な言動に我慢がならず、「若い奴は嫌いだ」と言い放つ。脚本家・山田太一が鶴田浩二演じる戦中派のガードマンを主人公に、戦後生まれの若い世代との葛藤を描き大きな話題を呼んだドラマシリーズ。第1部の三つのエピソード。

【レギュラー出演】
鶴田浩二(吉岡晋太郎[指令補]) 森田健作(柴田竜夫)
水谷豊(杉本陽平) 桃井かおり(島津悦子) 五十嵐淳子(浜宮聖子)
金井大(田中先任長) 中条静夫(斎藤司令補) 前田吟(後藤士長)
木村有里(沢新子) 久我美子(竜夫の母)

【スタッフ】
脚本:山田太一 製作:近藤晋 演出:中村克史
音楽:ミッキー吉野 演奏:ミッキー吉野グループ(ゴダイゴ)

第1話 非常階段

1976年2月28日放送
<あらすじ>
吉岡のもとに竜夫と陽平が新米ガードマンとして配属される。彼等の勤務先は自殺の名所として有名な高層ビル。夜間の自殺を防ぐことが仕事である。ある晩、自殺を図ろうとする女性(悦子)がビルに忍び込んだ。悦子は屋上のゴンドラから執拗に飛び降りようとするが…。

<みどころ>
◆屋上のゴンドラで自殺を図る悦子と吉岡
男たちの旅路 - 非常階段吉岡がゴンドラから飛び降りようとしている悦子に止めるように説得するが、悦子は、「死ぬときくらいねぇ、大人しく死にたくないの!」と言い、ゴンドラを揺らし、一向に聞こうとしない。

吉岡が、「なぜ死にたいんだ。」と、聞くと、悦子は、
「後5分で(ゴンドラの)電源入れなさい。そうじゃないと落っこちるわよ。10秒…、20秒…、30秒、40秒…。」と、吉岡を挑発する。

男たちの旅路 - 非常階段吉岡は、「ふざけたことを言うな。甘ったれたことを言うな!あんたには有り余って使い道のない人生かもしれんが、30年前の戦争ではなぁ…」と、説得をはじめるが、陽平が、「こんなときにずれた話すんなよ。」と、口を挟み、竜夫は悦子に向かって、「死にたきゃ死ね!勝手に死ね!!」と、怒鳴る。

男たちの旅路 - 非常階段しかし、吉岡は、「死なすわけにはいかん!」と言う。
竜夫が、「なぜですか、なぜそんなに助けたがるんですか。」と、聞くと、吉岡は、「仕事じゃないのか。あんた(悦子)もよく聞け。死にたきゃ死んでいい。俺は人助けであんたを助けようとしているんじゃない。仕事だ。このビルで誰も自殺をさせないという契約をした。だからあなたを死なせない。」と言う。悦子はゴンドラから飛び降りようとするが、間一髪で吉岡に助けられる。吉岡は悦子を何度も殴りつけた。

◆悦子救出後の警備員室で吉岡が若者に対しての気持ちを語る
男たちの旅路 - 非常階段竜夫は、吉岡が仕事だから助けると言っていながら、なんで殴ったのか疑問をもつ。陽平は、人生を舐めている若い奴が憎かっただけ。と、反抗的な態度をとるが、竜夫は、それなら助けただけでいいじゃないかと、陽平に反論する。竜夫は理由を聞かせて欲しいと吉岡に詰め寄る。

吉岡は、「俺は若い奴らが嫌いだ。自分でもどうしようもない。嫌いなんだ。」と、語り出す。
「戦時中の若い奴は、つまり俺たちは、もっとぎりぎりに生きていた。死ぬことにも生きることにも、もっと真剣だった。明日、死ぬと決まった特攻隊の連中を俺は忘れることができん。明日、確実に死ぬと決まった人間たちと暮らしたことがあるか。それも殺されるんじゃない。自分で死ぬんだ。自分で操縦桿を握って、自分で死んでいかなければならない連中と前の晩を過ごしたことがあるか。 男たちの旅路 - 非常階段顔色がみんな少し蒼くてな。ある晩『吉岡、星が出ているか』と、聞いた奴がいた。出ていなかった。『見えないようだ』と、答えると、『そうか、降るような星空っていうのはいいもんだったなぁ』と、言った。俺は一晩中、雲よ晴れてくれと空に願った。晴れたら奴を起こして降るような星空を見せてやりたかった。翌朝、曇り空の中を奴は飛んで行った。そして帰って来なかった。甘っちょろい話じゃないかと今の奴は言う。しかしな、翌朝、確実に死ぬと分かっている人間は『星が見たい』と、言う。たったそれだけの言葉に百万もの思いが込められていたんだ。最後に奴と握手をしたときのぬくもりを俺は忘れることができん。奴の掌はとうに冷たくなっている。

男たちの旅路 - 非常階段 俺だけが、俺だけが生き残ったという情けなさがおまえたちに分かるか。いや、分かってもらえなくてもいいんだ。それを甘いという奴は俺は許さん。少なくとも好きにはなれん。良いも悪いも、あの時代が俺を作った。若い奴らがちゃらちゃら、生き死にをもてあそぶようなことを言うと我慢がならん。利いた風なことを言うと我慢がならん。俺は若い奴らが嫌いなんだ。」

男たちの旅路 - 非常階段話が終わると、陽平が、「そりゃぁ、付き合いにくいですね。」と、反抗するように言う。
吉岡は、「ああ、たぶん、若い奴をほんとうには知らないせいだろう。猫背で、髪を伸ばして、女みたく歩く格好を見ると、ムカムカして付き合う気がしなくなる。俺はそういう人間だ。君たちに好かれようとも思わん。よし、明日、君たちの勤務は変えてやろう。ここは若い奴抜きで固めよう。」 と言う。
男たちの旅路 - 非常階段しかし、陽平は、
「やだなぁ、俺はあんたのこと嫌いじゃないですよ。中年にしちゃぁ、歯ごたえがありそうなんでね。」と、返し、竜夫も、
「俺も勤務を移りたくありません。勤務を続けさせてください。」
と、お願いする。吉村は少々戸惑いを見せた。

第2話 路面電車

1976年3月6日放送
【主な出演】
結城美栄子(岡崎昌子) 庄司永建(スーパー支店長)

<あらすじ>
自殺を図りながら吉岡たちに救われた悦子は、吉岡に頼み込み彼らの勤める警備会社に就職する。吉岡に連れられ、張り切って警備についたスーパーマーケットで早速万引きの女性を捕まえる悦子だったが、彼女の身の上話に同情して見逃してしまう。

 

第3話 猟銃

1976年3月13日放送
【主な出演】
石田信之(荒木) 丹古母鬼馬二(益田)
梅津栄(本山警備士) 頭師佳孝(秋田警備士)

<あらすじ>
吉岡と意見が対立した竜夫と悦子は仕事を辞めてしまう。さらに陽平も追うようにして辞職する。気の抜けた日々を過ごす彼らだったが、ある日竜夫は、自分の母が昔、吉岡と恋仲だったことを知る。事実を追い詰めようと警備先に吉岡を訪ねた三人はそこで強盗事件に巻き込まれる。

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