タンポポ(映画)

写真はタイトルの映画のメインストーリー冒頭シーンに登場するラーメン。

ある晴れた日。僕(ガン・渡辺謙)は、ひとりの老人(大犮柳太朗)に伴われてふらりと街へ出た。老人はラーメン歴40年。これから僕にラーメンの正しい食べ方を伝授してくれるのだという。

只今YouTubeで期間限定なのかは、知らぬ存ぜぬだが、全編(エンドロールはカット)観ることができる。

「タンポポ」が公開されたのが1985年。監督は伊丹十三。前年に「お葬式」で監督デビューし「タンポポ」は2作品目だ。

わたしはこの作品を映画館では観てないが、売れないラーメン屋を立て直すラーメンウエスタンコメディに興味をそそられ、レンタルビデオを借りて観た。そして、その後テレビで放送された時も観て、同時にVHSに録画したものも観ているので、最低3回は観ている。

この作品はラーメンウエスタンの物語がメインストーリーで、同時進行で複数のサブストーリーが展開され、最初わたしはメインとサブがどのような関連があるのだろと観ていたが、そのうち、メインとサブは「食」だけが共通点で、ストーリーの関連性はないと気がついた。

恐らく、伊丹監督はラーメン以外の「食」とそれぞれの人間模様も描きたかったのではないだろうか。

サブストーリーで登場する “白服の男” を演じた役所広司はこの作品が映画デビュー。

また、冒頭の映画館シーンで役所広司に胸ぐらを掴まれる男性(村井邦彦)の恋人役には、松本明子がセリフ無しのちょい役で出演している。

松本明子といえば、1983年アイドルとして芸能界デビューしたが、翌84年、生放送の『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン』で、四文字事件(放送禁止用語絶叫3連発)を起こし、即座にアイドル失格。

その後2年ほど干されたと当人は言っているので、「タンポポ」は干され中のエキストラ出演だったということかな。なお、エンドロールには松本明子の名前はある。

因みに妻は長年、サブストーリーで “カマンベールの老婆” を演じた原泉を、銀幕スターだった原節子だと勘違いしていた。

妻の思い込みはあらゆるもので尋常ではない。(夫談)

さて、同じ映画を何回も観ていると、最初は気がつかなかったことに気がついたり、目に入ったりするもので、時には「それはおかしくね」と、ツッコミを入れたくなるシーンもあるが、この作品で残念だったのは加藤嘉だ。

加藤嘉の演技やセリフが下手クソということではない。加藤嘉は数々の映画やテレビドラマに出演している名優だと思っている。

では、何が残念なのか。

加藤嘉はラーメンウエスタンのひとりで、主にスープ担当のセンセイ役だが、ただの一度もラーメンを食べているシーンがないのだ。

ラーメンウエスタン全員でラーメンを食べるシーンでも皆ラーメンを黙々と且つ夢中に食べてるのに加藤嘉だけはスープをレンゲですくって飲むを繰り返すだけ。

ゴロー(山崎努)、タンポポ(宮本信子)、ガン(渡辺謙)と一緒に日本蕎麦屋で食事をするシーンでも、タンポポから受け取ったもりそばを口にはせず、口をモグモグさせてるシーンはあるものの、もりそばを食べているシーンは一切なく、ひとり日本酒を飲み飲み、割り箸の先っちょでつまみらしき物をちょこっと摘んで口に入れる程度。

もちをつまらせる老人(大滝秀治)の豪邸でショーヘイ(桜金造)が作ったラーメンを食べるシーンでもスープを飲むふりだけ。

加藤嘉は1988年75歳で亡くなっているので、この作品時は71〜72歳。高齢のため食が相当細くなったのか、それとも食べることがあまりできない体になっていたのかは分からないが、エキストラを使って一口くらいラーメンを食べるシーンがあってもよかったのかなぁと思っている。

とは言え、わたしの「タンポポ」の総評は、忘れた頃にまた観たくなる映画。そして、観終わると無性にラーメンが食べたくなる映画。きっと、映画館の観客は観終わった後、ラーメンを食べに行ったことだろう。何度観ても面白い映画だ。

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