
Image by Kerstin Riemer from Pixabay
わたしはタクシーに乗っていた。
運転手の真後ろの後部に座っていた。
センターミラーには運転手の顔が映っている。
ぎょろっとした大きな目をした女性ドライバーだ。
いつの間にか助手席には女性客が、わたしの左隣には男性客がひとり座っていた。
わたしはふたりとも知らない。
それに、何故、わたしがタクシーに乗っているのか、目的地はどこなのかも分からないのだ。
急に運転手が車を止めた。
発進する気配はない。
助手席の女性客が、「ここで止めてくださいって言ってませんよ」と、取り乱すようにして運転手に言うと、運転手は無言でエンジンを切った。
急に車内が暗くなり、車内灯が薄暗く点いた。
センターミラーを見ると、運転手が無表情でじっとわたしを見ていた。
わたしは少々不安になったところで目が覚めた。