【心霊】真昼のミステリー

Image by Kerstin Riemer from Pixabay

 もう10数年前になるが、当時わたしは、湯島の会社で委託された仕事をしていた。この会社が入居していたビルは11階建てで、2階に受付、総務部、営業部、開発部の一部、4階に開発部を構えていた。

 わたしは4階の開発部で仕事をしていたが、ときどき2階の開発部に行くときは、高々2階の昇り降りだったことと健康にもいいだろうと、エレベーターは使わずに階段で移動していた。

 何度目かの階段移動の時、2階から3階へ上る折り返しを過ぎたところで、おや? と、わたしの後ろに誰かがいる気配を感じ振り向いたのだが誰もいない。まぁ、気のせいかとその時は気にはしなった。

 ところが、その後も2階から3階へ上る折り返しを過ぎたところで、わたしの後ろに誰かがいる気配を感じるようになったのである。4階から2階へ下るときは何も感じない。必ず2階から3階へ上る折り返しを過ぎたところで人の気配を感じた。でも、後ろを振り向いても誰もいないのである。

 これって…いや、そんなことは……。

 ある日、満を持して…って、よく分からんが、職業柄か白黒付けないと納得できない性格のせいなのか、その気配が “霊” であることをはっきりしたかったのでしょうね、いつものように2階から3階へ上る折り返しを過ぎたところで、わたしはゆっくり階段を上ることにしたのである。

 右脚、左脚と一歩ずつ、ゆっくりと階段を上っていると、今までとは違う感覚をはっきりと感じたのだ。わたしの背中にビタ~とへばりつくようにして、わたしの上り方を真似るようにして後を付いてくるのを。

 なるほど、やっぱり、“霊” だったのだ。
 Ψ(`◇´)Ψ

 と、分かった瞬間、わたしは血の気が引く思いで一気に4階まで駆け上がりましたよ。もし、国体で階段駆け上がり競技があったら、間違いなく入賞するでしょう。ってくらいの速さで。

 自社でなかったため、4階の開発部に戻っても、
「このビル、おばけが出るよ~=3」
 なんて、言えるはずもなく、誰にも話すことはしなかった。


 数年後、この会社は高田馬場に移転した。ここでもわたしは委託された仕事をしたことがあり、同じプロジェクトにこの会社の20代の男性若手社員がいた。

 この男性社員とは喫煙室で合うこともあるのだが、急に自分には霊感が強いことを言い出したのだ。

 ただ、そういう風に霊感が強いと言う若者はいるので、半信半疑だったのだが、彼の心霊体験を聞いいて、まんざらウソではなさそうだなと思ったのだ。

 それならばと、わたしは、
「ところで、御社が湯島だった頃、知ってる?」
 と、聞いたら、彼は、
「知ってますよ。あそこでも働いていましたから」
 と、答えた。

 なら話が早い。
「あそこのビルの階段に “霊” いたよね」
 と、聞くと、彼は、
「あー、いましたよ。fujisanjinさんも見えましたか!」
 と、さらっと答えたのだ。

 見えましたか! ってなんだよ=3
「いや、見えなかったけど、感じたよ」
 と、前出の話をしたら、彼は、
「fujisanjinさんも霊感あるんですね」
 と、言った。

 いえ、なくていいけど。

 彼にはその霊が見えていたそうだ。白のワイシャツを着た疲れた顔をしたサラリーマン風だったと言った。

 因みにそのビルは今も湯島にある。

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