殺された友人

Andreas LischkaによるPixabayからの画像

 ひとつ前の投稿と同じようなタイトルをつけてしまったが「殺されたシリーズ」ではない。ふと、そう言えば友人にも奥さんに殺されたのがいたなぁと、頭に浮かんだので書くことにした。

 わたしとその友人は中学時代からの友人で、奥さんはママと呼ばれる社交場で仕事をしている。わたしは、ママの社交場には年に2〜3度顔を出す程度なので、ママから、「あら! 珍しい。うちの敷居があまりにも高くて入れないのかなぁと思って削っておいたわよ」と、イヤミを言われても可笑しくない、売上になんら貢献しない来ても来なくてもどうでもいいお客なのだ。

 わたしは社会人になってから、「いらっしゃいませ~」と、老若色とりどりの女の子が手ぐすね引いて、わさっと待ち構えているこの手の社交場にはただの一度も入り浸ったことがない。敬遠しているわけでも毛嫌いしているわけでも苦手なわけでもない。1軒、2軒とはしご酒をした後にお付き合いやなんとな〜く立ち寄るくらいで、昔から飲んだときも色気より居酒屋が性に合っているのだ。

 ママの社交場が出来た頃、亭主である友人に行ってみようと誘ったら、奥さんから、「お店に絶対来ないで!」と、言われているので行かないと帰ってしまったことがあった。そう言えば、わたしがはじめてママの社交場に行ったとき、ママはわたしの耳元に顔を近づけ小声で、
「ここでは(私)独身ってことになっているから。ね!」
 と、にこやかにされど眼光は鋭く念を押してきたことがあり、わたしはその迫力に負け、
「口が裂けても言いません!」
 と、ママと固い約束したことを思い出したのだ。

 こういう社交場ではママ目当ての常連さんもいるからね。昔、島倉千代子が婚約を発表したら、ライブ会場から男性ファンがいなくなったって話し聞いたこともあるし、同じようにママも亭主がいるとなると男性客が減り売上が急下降するのだろう。

 とある夜、ママの社交場に行ったとき、わたしのテーブルに着いた社交場女子から、
「ママとはどういうお知り合いなんですか?」
 と、聞かれ、わたしは酔いもあったのだろう、うっかり、
「ママのご主人と友人なんだよ」
 と、いとも簡単にママとの約束を反故にしてしまったことがあった。

 やばい=3
「え゛ー! ママ結婚してたんですかー!?」
 なんて言われたら返す言葉もない。
 しまったぁ〜どうしよう〜
 ∑( ̄ロ ̄;)!

 しかし、そんなわたしの不安を払拭するように、社交場女子は神妙な顔をして、声を落とし、
「そーだったんですかぁ……。ご主人亡くなったんですよね。ママはひとりでふたりの子どもを育てていかなければならないから大変ですよね。切ないですね」と、返してきたのだ。
Ψ(`◇´)Ψ

 いや、生きてるよ! なんてことは言えない。ママは社交場では独身だから。わたしは咄嗟に、
「そ、そうなんだよ、いい奴だったよ……うん」
 と、神妙な顔をつくり、社交場女子に合わせた返事をして難を逃れたが、わたしの腹の中では大爆笑だった。わたしの顔は必死に神妙な顔をつくりながらも歪むようにニヤけていたことだろう。でも、殺すことはないだろ、別居中とか離婚したでいいだろ=3

 後日、このことを友人に、
「あんた、社交場では死んでることになってるよ」
 と、言ったら、
「ったく〜」
 と、苦笑いしていた。

 現在も友人はママの社交場の出入りを禁止されている。わたしの妻といい、友人の奥さんといい、女という生き物は平気で男を殺せるようだ。くわばらくわばら。

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