ヒレカツとヘレカツ

ミンチがメンチに訛ったと考える人は大阪に多く、実際は「メンチ」の語源についてはっきりとした説は存在しないとのことだ。なお、英語表記は「Menchi katsu(メンチカツ)」になる。
参考:Wikipedia「メンチカツ

 同じ料理なのにメンチカツ・ミンチカツと呼び名が異なるのと同様に、ヒレカツとヘレカツがある。一般的にはヒレカツだと思うが、関西ではヒレをヘレと呼び、ヒレカツはヘレカツ、豚ヒレ肉は豚ヘレ肉になる。

 ヘレカツの語源を調べると『英語のFillet(フィレット[フィレ肉])が訛って、ヒレカツ、ヘレカツになった』という説があった。

 しかし、「フィレ」が訛って「ヒレ」に変化するのは発音上まぁありかなと思うのだが、千葉県出身のわたしの発音では、どうしても「フィレ」から「ヘレ」には変化しない。そこで、視点を変えて通韻(つういん)・通音(つうおん)に着目することにした。

【通韻とは】
江戸時代の学説で五十音図のうち同じ段の音が相通じること
例)
「けむり」→「けぶり」
「かなしむ」→「かなしぶ」
「きみ(黍)」→「きび」
「まっすぐ」→「まっつぐ」
「退く(のく)」→「どく」
「ぎょうさん(仰山)」→「ようさん」
【通音とは】
江戸時代の学説で五十音図のうち同じ行の音が相通じること
例)
「さねかづら」→「さなかづら」
「うつせみ」→「うつそみ」
「すめらぎ(天皇)」→「すめろぎ」
「いを」→「うお(魚)」
「きつねうどん」→「けつねうどん」


 何故、通韻・通音が発生したのだろうか。

 私見だが、全国どこでもいつでも誰でも標準語で会話ができ、テレビ・ラジオ・書籍からは標準語が溢れ、学校の教科書は当然標準語、日常生活でもその土地の方言が薄れ、訛が強い方言を話す人がほとんどいなくなった現代においては、通韻・通音は起こらないと思う。通韻・通音が発生したのは、標準語もない時代もしくは標準語が全国に浸透する以前の土地土地の方言の発音が起因したのだと思う。

 例えば、「きつねうどん」を大阪では「けつねうどん(うろん)」と言うが、標準語が浸透してない時代の大阪人が発音したものを文字にしたら「けつねうどん(うろん)」になったのだろう。

 同様に、明治時代に発明されたフィレカツも当時の関西人が発音すると「フィレ」が「ヘレ」に聞こえ、それが文字になったのではないだろうか。わたしは、ヒレカツとヘレカツは単なる通音と結論付けた。

タイトルとURLをコピーしました